さすらい農場

華麗なるギャツビーのさすらい農場のレビュー・感想・評価

華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)
3.9
ー 彼は闇の中の何かに手を伸ばしていた ー
謎めいた大富豪の華麗なる日常。
レトロな色彩が美しい。
昔の映画館を飾ったロビーカードを思わせる映像効果が、華やかだけど儚い世界観に相応しい。
繁栄と虚構の間にあるのは
[自分を解き放ちたい]という人の思い。
パーティーの喧騒が華やかなほど虚しく、夜空を染める花火が煌びやかなほど心に影を落とすのは何故だろう?
手に入るものが多いほど、人は満たされないのかもしれない。

[君には僕がどう見える?我が友よ。]

何かを手に入れる為に、人は足掻き苦しむ。
見果てぬ夢は、生涯その人の胸を刺す。
だがしかし、その辺のガラス玉をダイヤモンドと信じて守る人を、呆れてはいけない。
峠の向こうが素敵な世界だと信じる人を、憐れんでもいけない。
望みを持つことそのものに価値が有る。
たとえ空虚であろうとも、極上の笑顔を浮かべる人は偉大なのだ。
青春の秘めた情熱とナイーヴさを結晶にした名作なのでした。