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クレイジーホース・パリ 夜の宝石たちのWILDatHEARTのレビュー・感想・評価

3.2
『平均化された美』


クレイジーホースのダンサーに求められる資質は飽くまでも店側が厳格に規定する美の基準をクリアーしていることであり、同じような美しいプロポーションの肉体を持った女性のみがオーディションを通過してステージに立つことを許されるようだ。

個性の中に美を見出そうとする昨今の風潮とは逆に、ここで描かれる美は個性を徹底的に排除した世界であり、金太郎飴の如く平均化された凡庸とさえ呼びたくなるような概念的な美である。


もしも平均からかなり離れた個性(例えばもっと大きい胸や尻や太い脚)を持ったダンサーを使ったら、途端にこのショウは猥褻なものに堕ちるだろう。
つまり、個性を排除することで彼女達は美の象徴たり得るし、店は品位を保てる訳である。


この映画で紹介されるこうしたショウを担うプロフェッショナル達にはこれからもストイックなまでに平均化された美を追求し、「これ以外の美を認めない」という位の排他性を貫いて欲しいと思う。
この排他性こそが長きに渡る伝統の核心だからである。
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