山田洋次監督があえて名作のリメイクに挑みました・・
映画ファンなら誰でも知っているような『東京物語』を山田監督がリメイクした家族愛を描いた作品。
舞台を現代の東京に置き換えただけでほぼ前作の内容を受け継いだ作品でした。
私はこの作品をリメイクするのであれば三国連太郎さんに父親役を演じた作品を見てみたかったのです。作品としては結構良い出来の作品ではないかと思いますが、なにせ前作を見てしまった人間には物足りなさを感じてしまうのはやむを得ない事なのでしょう。
申し訳ないが長女を演じた中島朋子さんが何か浮いてしまったような存在と云うか演技力なのが、気になって仕方ありませんでした。
６０年の時間を経て制作された映画が時代遅れと感じないのはそれだけ、年老いた両親を扱う家族の在り方が永遠なるテーマを抱えている事に、他ならないのでしょう。
妻を東京で亡くし瀬戸内海の島で単身暮らすことを決意した父親が子供たちに向かって『東京には二度と行かない』と発した言葉に込めた思いが、私には非常に切なく感じて残りました。
子供たちが東京へ去った後、一人で居間で背中を丸めて足の爪を切る父親の姿。残された自分の人生に腹をくくった決意を感じさせられました。
