MasaichiYaguchi

聖☆おにいさんのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

聖☆おにいさん(2013年製作の映画)
3.3
「モーニング・ツー」で連載中の中村光さんの漫画をアニメ映画化した本作はファンの期待を裏切らない。
コミックス第8巻特装版に付いていたOVAのスタッフ達、監督の高雄統子さん、脚本の根津理香さん、キャラクターデザイン・総作画監督の浅野直之さん等が続投するかたちで本作を制作している。
同じくイエスを森山未來さん、ブッダを星野源さんが声優を担当している。
この映画は、天界のブッダとイエスが「下界のバカンス」を満喫しようと、東京都立川市にある安アパート「松田ハイツ」で過ごす日々を描いている。
立川は自宅から比較的近く、たまに遊びに行ったりしているので、本作のモデルとなっている商店街や公園、神社やお寺等、見知った所も出てきて嬉しい。
映画では、立川の春夏秋冬の表情や、お祭り等の年間行事を織り交ぜながら、彼らのほのぼのとした日々を綴っていく。
イエスとブッダが映画の中で、「日本に来て良かった!」とか、「「日本って美しい!」と何回も言っているが、私も映画の中で描かれる四季折々の立川の風景が美しいと感じた。
そして彼らの周りの人々、松田さん、近くの主婦達、竜二、商店街の人々、やんちゃな小学生達等、夫々個性溢れていて魅力的だ。
ストーリー自体は、大事件や劇的な展開がある訳でもないが、原作ファンにはお馴染みのエピソードやネタが上手く盛り込まれていて、色々な所で笑いのツボに嵌る。
この作品の様にキリスト教と仏教をギャグの題材に、同じ作品内で描くというのは多神教である日本だからこその感じがする。
ブッダとイエスとの「下界のバカンス」で育まれる「友情」や「絆」は、神仏的というより、とても「人間味」溢れていて心癒されます。