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舟を編むのcherryのレビュー・感想・評価

舟を編む(2013年製作の映画)
4.0
原作を読んでから鑑賞。原作がかなり良かったから、期待して観たけど全然裏切らない内容だった。
映画のキャストが役に合っていて、そのまま本から飛び出してきたみたいな感じが本当に嬉しかった。

内容は、幅広く誰もが使うような辞書を編みたいと、大型辞書「大渡海」を編纂していく物語。そこでの苦労をたくさん描いているけど、この作品で良いと思ったのは辞書編纂と同時に起こるたくさんのエピソード。
辞書の言葉は次々と時代とともに変化するから、用例採集カードというものに言葉を集めるためハンバーガー店へ行って、高校生の話に必死に耳を傾けたり、黙々と仕事をするような馬締に関する恋の話など、色んなエピソードが観ていて楽しかった。
それぞれの行動が可愛くて、思わず笑っちゃうようなところが良かった。

決して派手ではない辞書を編むということが、色んな話が盛り込まれていることでより厚みが増して、次々に変わっていく展開が面白く感じた。
原作にはもっと多くの、楽しくて登場人物を愛らしく感じるような小話があるから、映画を観てから本を読んでもまた楽しめると思った。

また、辞書を通して言葉のエキスパートになったからなのか、辞書編集部で働く彼らの言葉が1つ1つ重たくて、でも優しさに溢れた内容が素晴らしかった。
ちょっとした言葉でもその人の性格を表していて、言葉でその人をまるごと理解出来るような所が良かった。

全体的に温かくて、観た後に辞書を引いてみたくなる作品だった。
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