村上淳がカッコいい。無精髭のオッサンなのに学ランを着てもカッコいい。ウダツの上がらない40歳近い俳優という役どころもハマっているし、スケボーをする姿がサマになる。村上淳を好きになる作品。
捉えどころがないし、抑揚もないのだけど、観終わって余韻が残る。そして猛烈にもう1回観たいと思わせる。どのカットもバラバラのようでいて実は意味があり、とりとめのない日常的な断片が繋がると、こんなにも映画になる。皆さん書いてるけど三宅監督は編集がうまいと。技術のことはよくわからない私にもそう思えた。これが三宅唱監督の商業的な長編処女作だという。すごっ。
仕事も結婚生活もうまくいかない俳優のハジ（村上淳）が高校時代の過去と現在を行きつ戻りつしながら再生する物語。
過去なのか夢なのか幻想なのか理想なのかわからないまま進み、過去に戻るたび微妙にズレる、そのズレ方がとても自然。反復とズレが楽しい。死がまとわりつく感覚も惹きつけられました。
高校時代の仲間や元妻など人間関係の微妙な距離感を描くのがとてもうまくて、誠実さを感じる。この感覚は『ケイコ 目を澄ませて』『きみの鳥はうたえる』でも感じました。そして俳優個々の魅力を際立たせるのが上手いなぁ。
