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レ・ミゼラブルのEyecoのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2012年製作の映画)
5.0
原作のああ無情を読んだのは小学生の頃で、内容はジャン・バルジャンが銀器を盗んだけど司教様に許されて〜って位しか覚えていなかったので、新鮮な気持ちで鑑賞できました、なんて事はどうでもいい程素晴らしい作品でした。

これぞ人間讃歌。
ファンティーヌの娘を思い苦界に見落とし慟哭する歌、エポニーヌの叶わぬ恋を絞り出すように紡ぐ歌、革命とその先の未来を高らかに掲げる歌。
ミュージカルの素晴らしさの片鱗が私にもようやく見えた気がします。

ちょうどフランスで黄色いベスト運動が起こっている最中にこの作品を観れたのも運命的でした。
人類の歴史の流れの中で彼ら流した汗や涙や血潮の先にあるこの未来に自分は生かされてるんだなと思うと、彼らが次々と倒れていくシーンは滂沱の涙が止まらず。
フランス万歳!フランス革命万歳!!

そして、体制側の人間で"正義"の人であるジャヴェールの苦悩。それまでの信念を打ち壊された後
生き続ける事が出来なかった哀しみ。後の歴史の中では、彼らは大きな流れに逆らった愚か者に見えるかもしれないけれど、変節せずに旧来の価値観を保ち続けた故の苦難も、決して忘れてはいけない事だと思います。

それから、バルジャンをはじめとした登場人物達の愛。
人を愛し、愛した人の大切な人をも愛す。利他の愛こそが神のそばに至る道。
キリスト教徒でなくとも、世界の真理は普遍的で胸を打ちました。
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