ダース米田

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のダース米田のレビュー・感想・評価

4.0
インドで動物園を経営していた一家が船でカナダに向かう途中、大嵐によって船が沈没。少年パイ・パテルがボートに乗り込み助かったが、そこに何匹かの動物達も乗り込んできた。
やがてボートにはパイと一匹のトラだけとなる。助けを呼ぶ手段も食料もない大海原のど真ん中で、パイとトラは取り残されてしまう。


神秘的な映像が魅力となったこの作品。
食料も水もないで漂流する一人と一匹という奇妙な設定ですが、本作のストーリーの裏が見えてくる終盤を思うとよりなかなか凝った設定だと感じた。
普通に考えて狂暴なトラと共存など出来るわけもなく、そこで生物同士の心が通じ会う感動話かなと思うところがある。しかしそれ以上に驚愕な一面が感じられた。

物語は大人になったパイが人に語る回想形式となっており邦題も「トラと漂流した227日」とあるように、パイ・パテルは「生き延びた」ことが既に前提となっている。
物語の解釈はいくらでも考えられる作りとなっており、どう捉えるかで評価も変わりそうな気もする。

個人的には表面的な「人間と動物」の話としても十分面白く感じたし、迫りくるトビウオの大群や夜の海に跳び跳ねるクジラの映像も幻想的な印象が残り満足できましたね。結構お気に入りの作品です。
ダース米田

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