ダース米田

ワイルド・スピード ICE BREAKのダース米田のレビュー・感想・評価

4.3
強固な絆で結ばれた、血の繋がらないファミリー。
スピードを求め、10秒程度の自由を求めた男に最大の試練が待ち受ける。


とうとうシリーズ8作目を迎えたワイルド・スピードシリーズ。
悲劇的なポール・ウォーカーの死去により、主演はヴィン・ディーゼルの片輪走行となった本作ですが、シリーズとしての完成度は非常に高いです。

ドムの裏切りという衝撃的な展開が起こる本作。
謎の女性サイファーと接触した彼は任務の途中に仲間のホブスを攻撃、回収した軍事兵器を奪い、一人逃亡してしまう。
物語の衝撃性に加え、これまでになくシリアスな展開となっているのが特徴。漆黒の出で立ちでファミリーを襲撃し、容赦なく仲間たちを薙ぎ倒していくドムのその姿はまるでスターウォーズEP3のアナキンの様。そこに隠された真相も非常に辛かった。

毎回過激さを増していくカーアクションもまだまだ止まるところを知らず、潜水艦との追いかけっこではミサイルや魚雷が飛び交うなど、またしてもファンの予想を越える物を見せてもらいました(笑)

また本作では、シリーズの起源であるカーレースが久々に気合いの入った物となっており、初期のファンにもオススメできます。


不満点(というか突っ込みどころ)としては、前作で冷酷な悪役として登場したデッカードが不本意ながらもドム奪還作戦に加わること。
その展開自体は特に不自然ではないのですが、とある事情により明らかなキャラ崩壊を起こしているので、前作のことを考えると違和感しかないです。

また、後半の展開そのものもなかなか強引な所があり、なんとなくトリプルX再起動の様な荒唐無稽さがありました。


しかし作品全体的な印象としてはとても良く出来ており、シリアス展開に加え、激昂を隠せないドムの姿が印象的でした。

それだけではなく、本作には今後のストーリーが広がる予想外な展開がいくつも含まれており、
「続編ではきっとこうなるかも」、「早くあいつのスピンオフストーリーが見たい‼」となりました。

ついにハリー・ポッターと並ぶ8作目となったワイスピですが、今後の展開はますます期待せざるをえない、そんな可能性に満ちた本作でした。
ダース米田

ダース米田