Tutu

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のTutuのレビュー・感想・評価

3.9
パイとトラを自分と大っ嫌いな上司に置き換えると物語がぐっと自分に寄ってくる感じ。

自分の敵を助けてしまうのは全く理性的ではないかも知れないし報われないのかも知れないけど、助けたいんだよなあ。理屈じゃないんだよなあこれ。
「人に善意を向けても返ってはこないよ? いいの?」というのは事あるごとにぶつかる悩みで、この作品からは解決のためのヒントを与えてもらったような気がする。

映像がものすごく綺麗で、ハッとさせられること多々。パイが漂ってたのは大海だったか宇宙だったか一瞬分からなくなってしまうほど。
もしも、その大海のような宇宙のような懐に人間を抱くのが神なのだとしたら、そりゃ神様だって快便で機嫌が良い時もあれば下痢でゴロゴロな時もあるだろうから、すぐ側にいる我々はたまったもんじゃない。

大して信心深くもないような人間にとっては「神は何故我々に試練を与えるのか」なんて疑問は意味を為さない。そんなもん気まぐれに決まってるとみんな口を揃える。
Tutu

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