yunayuna

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のyunayunaのレビュー・感想・評価

5.0
トラと漂流したけど何とか生き延びましたっていう感動奇跡系でしょ? そういうのはいいかな、、、と冷めた目で見逃していた自分のバーカーーーー!!

確かに『1人の青年が、家族と一緒に船で渡ろうとしたら嵐に呑みこまれ、気づいたらイカダに凶暴なトラと動物たちと取り残され、なんだかんだで結局はトラと青年だけが残り、途方もなく広い大海原を何とかトラと共生する術を身につけ、様々な体験をしながら色んな事を感じ、長い長い漂流を奇跡的に生きながらえました』という話ではあった。


だけど、最後の最後に決してそうではなかったと(いや、そうではあるんだけれど)、目の前で翻されたその瞬間の驚きといったら、、、、、
画面ではエンドロールもすっかり終わっているのに、いつまでもそこに1人取り残されている自分がいた。。。


それまで彼とずっと一緒に感じてきたもの、彼とずっと一緒に見てきたものが、まるで違ったように見える。

え? じゃあ あの時の彼は?

え?あれは?? ??

、、、、、、、、、、。



思わず解説サイトを何個も何個も何個も読み漁った。
彼と一緒に漂流してた時間に隠されていた、いくつものいくつものメタファーの重なり。
知れば切るほど、とても奥深く作り込まれた話しだったのだ、と驚くばかり。

もちろん、そんな隠されたものを知らなくとも、この作品は十分に面白い。
ラスト数分前までだって、飽くことなくどっぷり見入り、すっかり魅了されていたのだし。
それに、とにかく圧倒的な映像美。
こんな素晴らしい映像なら 是非とも劇場で見たかったと悔やむほど。リバイバル上映するんなら 隣県でも駆けつける勢いだわ。

でも、そこに隠されたものを知ることで、こんなにも作品から受け取るものが違うということ。表面的な面白さだけではなく、奥深く作り込まれたものを探る面白さを教えてくれた、映画の見方を変えてくれた作品でした。
yunayuna

yunayuna