泣きました。素晴らしかった。なんといってもディティールが素晴らしく、充実の画面に食い入ってしまう。そこに張り巡らされた緻密な仕掛けが導入されるもんだから、一瞬たりとも飽きさせず、ニヤニヤしながらも唸るといったぐあい。ディティールが仕掛けを駆動していくので、演技に重責が置かれない。それでも十分に語り切ることができることの証左でもあるが去勢された荒くれ俳優たちが居心地の悪そうに画面におさまっていて、それが、主要な二人を際立たせてもいる。もちろん、二人も素晴らしかった。アンダーソンの刻印は、断面的に家を魅せたり、キメの場面でのスローモーションだったり、家族の主題だったりするけど、ラストの大団円なんかまさに映画の醍醐味だ。それでいて安直なカタルシスには収斂されない見事な手腕。至福の傑作。
「天才マックスの世界」と「ライフアクアティック」見直そっと。
