ハニーむーびー

遺体 明日への十日間のハニーむーびーのレビュー・感想・評価

遺体 明日への十日間(2012年製作の映画)
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グロすぎた現実より薄められているが
熱意は感じる。大事な学びが残れば良い

私は南三陸、陸前高田と石巻でボランティアをしてます。前者がメインなので釜石は違うのかもしれませんが、当時は瓦礫とヘドロで水道および道がだめになって工事がまだこれないところを地元の方々と一緒にひたすらシャベルで掘って冠水を防ぎ、また雨が降ると埋まってを繰り返しました。

シャベル作業は初めて10分で腰が激痛だったけど言うべきときでないので皆で床が見えるまで必死でした。震災から5ヶ月経ってからのボランティアだったので私はご遺体を見ていません。

ただ2年くらいしてから仮設住宅に住む方々や市の方々からポツリポツリと「話したい、残したい」という声を頂くようになりそこでようやく当時のご遺体の状態を伺い知りました。

福島のある避難指定区域は海岸近くの松林がまるごと流されて襲って来たこともあり、見つける遺体はまともな形がほとんどなく職員さんや民生員さんが子供の腕や足を拾っては運んだこと。

仙台市の人は電気がなくて状況が分からず4日目に外をでたらご遺体だらけで、車の中なども本当にみなさん苦しい表情のままで亡くなっていて辛かったというお話。

ある先生は卒業式を笑顔で見送ったあと坂の下の街がまるごと流され、小学校にしゃべって残っていた子以外全員亡くなった話。

仙台市の方は目の前でいつも知った商店街の方々が助けを呼びながら流される姿を二階で子供と一緒に涙を流して見ていたこと、もうひとりの子供が学校に行っていて不安で死にそうだったという話。

私たちからは聞かないので、ボランティアに話したいと来てくださった方からの話だけですが特にご遺体がばらばらだったという話や丸ごと基礎を残して亡くなった街の姿、心に焼き付いてます。


この映画はそれを考えると見やすいように緩和されてます。ご遺体はどれも身体が欠けずに揃っています。ストーリー仕立てですし職員のビフォアは過剰だし、西田さんですから西田さんらしい正直くどい演技です。

それでも、それでもこの映画は、役者の熱意も脚本の熱意も伝わってきます。

そして何より、震災の一番の学びである当たり前のことへの感謝や日々のあり方、人への接し方を再確認するそんな機会を震災から6年たっても思い起こしてくれました。

あまりグロいと子供の教材にできないですがこの映画はその点もある程度大きくなった学生なら見ることが出きるでしょう。素晴らしい映画だと思います。
(2017にyahoo映画にかいた文です)