3Dメガネ

ザ・マスターの3Dメガネのレビュー・感想・評価

ザ・マスター(2012年製作の映画)
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第二次世界大戦後帰還兵となった一人の男、フレディ
彼はPTSDに悩まされており、真っ当に生きることができなくなっていた
そんな中、偶然マスターと呼ばれる人物と出会う

長文失礼します
自分の中のモヤモヤ感をレビューを通して吐き出した形になりました
ご了承ください

フレディは戦後、頼る人が誰もおらず孤独であった
職についても症状のせいでうまく生きることができない
そんな時に自らを受け入れてくれる者と出会えば、すがること以外選択できない

マスターの施すプロセシングと言う名の療法によって、フレディの心の奥底に眠る切望が明らかになる
このシーンは二人の演技合戦が凄まじく、静かで動的に何も起きないながらかなりの迫力だった

だが、次第に明らかになっていくマスターの落ち度
彼は決して完璧な存在ではなく、まともな目で見れば怪しい存在だった
そのマスターを裏で手懐ける妻のペギー
彼女が洗面所ではっきりと示すマスターとの上下関係
女とは怖い生き物である

自分が自分でない状態の時、理解者の言葉を吟味することなく信じてしまうだろう
それにすがることで自らが立ち直るきっかけになるならばそれは良いことである
だがそれが全てではない
マスターが施した療法は一時的な現実逃避、自己の欲望からの逃避であったように映る
本来、フレディが望んでいたものから目をそらすためのカモフラージュあったように映る

彼が本当に望んでいたものを動きで表現したバイクのシーンは65mmフィルムで撮ったダイナミックな映像と伴い脳裏に焼きつくように美しいシーン

自己の再認識と束縛からの独立の果てに彼が見た景色は果たして彼の求めた欲求を満たすものであったのか
自己逃避の一つでしかないのか
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