冷蔵庫とプリンター

夜ごとの美女の冷蔵庫とプリンターのレビュー・感想・評価

夜ごとの美女(1952年製作の映画)
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 現実に失望した音楽家が、夢の中で理想的な世界に浸るが、現実に引っ張られて悪夢を見るようになるという話で、かなり楽しい作品だがルネ・クレールのシビアな現実感覚も反映されている。

 懐古趣味により、夢でどんどん昔の時代に遡っていく構成は、ウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』を思わせた。チープなセットや小道具で絶妙に夢の世界の浮ついたイメージを表現していた。

 画面の切り替えでそのまま舞台が移動したりと、夢の世界を見せる演出がよく出来ており、アバンギャルドから出発した監督らしい作品という感じがするが、ストーリーはあくまで明快でハリウッドっぽさもある。
後半の荒唐無稽なカーチェイスシーンはかなり面白かった。

 ジュラール・フィリップの悩ましげな表情がかなり良かった。