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レッド・ステイトのBalthazarのレビュー・感想・評価

レッド・ステイト(2011年製作の映画)
3.7
「人は権利を傘にとんでもないことをしでかす。
が、単純に生きるものはさらにその上を行く」
ラストシーン、この映画のすべてを物語るキーナン支局長の言葉。

タイトルは共和党支持者・キリスト教保守派の多い「赤い州」を意味する。

トラヴィス、ビリー・レイ、ジャロッドの高校生三馬鹿トリオは、出会い系サイトで知り合った女性がSEXの相手を探していると知り、大はしゃぎで女性の元へと向かう。ほどなくして女性が住んでいるというトレーラーハウスに到着するが、女性の正体は酔っ払いのBBAだった。まあ、せっかく来たのだからと、勧められるままビールを飲む三人。すると強烈な眠気に襲われ、その場に気を失ってしまう。一服盛られたのだ。

三人が目を覚ますと教会で檻に閉じ込められてしまっていた。そこはキリスト教原理主義者の集いで、牧師のクーパーは性欲に溺れている三人をこれから十字架に磔にして処刑すると言い放つ。この危機的状況からビリー・レイがとっさの隙をついて逃げ出すが、袋小路に追い詰められ射殺される。たまたま教会にやって来た保安官補がその銃声を聞き、ワイナン保安官に通報するが、保安官補も殺される。隠れゲイなワイナン保安官は、クーパーに同性愛の現場証拠写真を妻に送ると脅されたために黙って自殺しようとするが、そこは思い直して応援要請、キーナン支局長率いるATFが対応することになる。

こうして教会の周りをATFが取り囲み、すぐに事態は収拾されるものと思われたが、死んだふりをしてやりすごしたトラヴィスが銃を持って脱出したところを、ビビりのワイナン保安官が撃ち殺してしまったことをきっかけに、事態は急変する。教会地下のガレージには教団が違法に隠し持っている銃火器が大量に保管されており、信者たちは一様にそれを手に取ると激しく応戦し始める。一方ATF上層部は自分たちの側から発砲して人質を死なせたという失態を隠すため、女子供も関係なく、教会内の人間を信仰に基づく国内テロ組織だとして認定し、問答無用で全員抹殺することを決める。

クーパーの孫娘シャイアンは、教会内の幼い子供たちだけでも救おうと、ジャロッドに仲介役として事情を説明するように頼むが拒否される。その様子を見たシャイアンの母サラは激昂し、摑み合いになったシャイアンはこれまた誤ってサラを撃ち殺してしまう。そしてジャロッドを連れて投降するが、その場で二人とも口封じに射殺される。

激しい銃撃戦が続く中、現場に異常なラッパ音が響き渡る。これを神の啓示と判断したクーパーらは武器を捨ててATFの前に現れ、今日こそが「最後の審判」なのだ!と叫ぶ。

結局、クーパーらは逮捕されるが、例によって愛国者法の下、「テロリスト」として裁判にかけられることもなく永久に収監され、社会的に抹殺される。ちなみにあの異常なラッパ音は近所の学生たちが拡声器にipodを繋いで流した悪戯でした。
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