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カリフォルニア・ドールズのCinemanのレビュー・感想・評価

カリフォルニア・ドールズ(1981年製作の映画)
4.0
『カリフォルニア・ドールズ』
ロバート・アルドリッジ監督
1981年公開アメリカ 
鑑賞日:23.02.24 U-next

世の中には2種類の人種がいる。
プロレスを楽しめる人種とインチキだと馬鹿にしている人種だ。
プロレスはインチキではない。
格闘技に演劇的味付けをしたエンタテイメントだ。
本気で格闘したら瞬時に試合が終わってしまうか死んでしまうだろう。
カウント3まで反則が許されるというルールが競技とは言えないし。
本気で闘いながらも演劇的演出のビミョーなさじ加減が加わるのがプロレスの面白さだ。
村松友視さんの名著「私プロレスの見方です」によれば「虚実皮膜でまるで人生そのもの、それがプロレスの面白さ」なのだ。

『カリフォルニア・ドールズ』は美人で実力もあるが売れない女子プロ・タッグ“カリフォルニア・ドールズ”と彼女たちで一攫千金をねらうマネージャー3人のロード・ムービーだ。

【Story】
女子プロのタッグ“カリフォルニア・ドールズ”のアイリス(ヴィッキー・フレデリック)とモリー(ローレン・ランドン)はマネージャーのハリー(ピーター・フォーク)と地方ドサ回りの毎日だ。

移動はハリーが運転するオンボロ・キャデラック。
食事はハンバーガー。
宿泊は安いモーテル。
冬でも車の暖房を使わない。
時には車と一緒に走ったりエンコした車を押すのがトレーニング。
そんなゆううつな旅を続けていた。

美人で長身でグラマラスなドールズの2人は実力もある。
アピール度満点なのに大きな試合に恵まれないのはマネージャーのせい?
ハリーはギャラ交渉で値切られて1試合たったの240ドル程度の収入。
時折高いギャラで出場すると見世物的泥んこプロレス。
たまにはナプキンを使うレストランで食事をしたいし豪華なホテルにも泊まりたい2人は大きな夢ばかり追っているハリーに不満が募るばかりだった。

ようやく人気が出始めたドールズにチャンスがめぐってきた。
ネバダ州リノで開催される女子プロ王者ビッグママの世界王者決定戦の前座試合への出場が決まったのだ。
博打で獲得した軍資金でハリーは試合当日さまざまな秘策で会場を盛り上げた。
カリフォルニア・ドールズへの声援が会場を埋め尽くしたころ30分一本勝負のゴングが鳴り響いた。

【Trivia & Topics】
*二人の女優。
ヴィッキ・フレデリックとローレン・ランドンの試合ぶりが凄い。
彼女たちの敏捷な動きと技はまるで本物の女子プロの試合を見ているようだ。

*ミミ萩原。
日本女子プロレスのアイドルミミ萩原とジャンボ堀が出演しました。

*ピーター・フォーク。
3歳のとき網膜芽腫で右眼の眼球の摘出手術を行ないう右の眼孔には義眼をはめています。

*ロバート・アルドリッジ監督。
『何がジェーンに起ったか?』、『テキサスの四人』、 『飛べ!フェニックス』 『特攻大作戦』、『傷だらけの挽歌 』、『ロンゲスト・ヤード』、『合衆国最後の日』など数々のエンタテイメント映画で知られる監督ですがアーネスト・ボーグナインがたまらなく魅力的な『北国の帝王』がサブスク配信されていないのが残念です。

いつかは大スターになることを夢見てドサ回りする彼女たちとイマヒトツ才覚のないマネージャーとの珍道中。
『カリフォルニア・ドールズ』はピーター・フォークにとってもアルドリッジ監督にとっても代表作です。

【5 star rating】
☆☆☆☆
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