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響 -HIBIKI-のCinemanのレビュー・感想・評価

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
4.0
『響-HIBIKI』
月川翔監督
2018年日本
鑑賞日:21.07.09 Amazon Prime Video

この映画サイコー!と声高にならなくても人に「ちょっといい映画なのよこれは」とひそひそ話しをしたくなる映画がある。
そんな作品だ。

出版社に届けられ、台車に乗せられて編集部まで運ばれていく一通の郵便物をステディカムが追う導入部。
あれ?
同じようなイントロの洋画を見たことがあるな~、と、記憶をたぐり寄せた。
多分スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ』の冒頭シーンじゃなかったかな?

新人賞担当の編集者がその封筒を見て言う。
「ダメだよ、データで送られたものしか受け付けないことが応募規程なんだから、これは受け付けられないから廃棄して」

ゴミ箱に捨てられた原稿用紙の束を拾い上げた一人の女性編集者が読み始める。
凄い作品だ!彼女は魂を震わせる。

この導入部だけでつかみはOK!
しかもヒロイン平手友梨奈の無表情さがいい。

ご都合主義で漫画的展開的だな~と思っていたらやはり原作はマンガだった。
小説を書くことも読むことも大好きな16歳の女流天才作家デビューにまつわる物語。

主人公のモデルは新井素子?と思わせる程外見の雰囲気(内面も?)が似ていたのが興味深かった。
そしてもひとつ。
是枝監督の『誰も知らない』の柳楽優弥少年 がこんなに大人に・・・、
しかもうまかった。

平手友梨奈はアイドルユニット欅坂46のセンターというからにはかなりな人気アイドルなんだろうけど本作は興行的には芳しくなかったというネットでの噂を目にした。
彼女の圧倒的な存在感と監督の切れ味のいい演出が見事なコラボ感を生み出している作品だ。
偶然今見終わった『旅する16歳とジーンズの夏』と同じく主人公は16歳の少女。
『旅する・・・』はファミレスの味わいだったがこの作品は料理人が手間ひまかけて味が染み込んだ定食屋の味わいを感じる。

【物語の概要】
小論社の文芸誌『木蓮』編集部に郵送されてきた新人賞の応募原稿。
しかしWeb受付のみのため廃棄処分に。
それを拾い上げたのは編集部員の花井ふみ(北川景子)でした。
作品を読んでその才能に驚いた花井は、自ら入力し応募を受け付けることにします。
高校一年生の響(平手友梨奈)は、同級生の涼太郎と文芸部を訪れます。
溜まり場を奪われたくない不良隆也に脅された響は、彼の指を折って撃退し文芸部に入部します。
部が存続するには部員が1名足りず、響は辞めた隆也を勧誘。屋上から飛び降りることもいとわない響の度胸に免じて隆也は再入部しました。

ある日響は編集部に電話し、自分の作品の感想を求めます。
花井は興奮して絶賛するも、肝心の連絡先を聞く前に電話が切れてしまいます。
文芸部の凜夏は響の書いた短編を読みその才能にショックを受けます。
実は凜夏は人気作家祖父江秋人の娘。“祖父江凜夏”名義でのデビューを打診されています。
祖父江の家を訪れた花井は秋人の書斎で会った女子高生が、探していた鮎喰響だとわかり「新人賞確実だから連絡先を教えて!」と迫ります。
それを聞いた凜夏は“祖父江凜夏”でのデビューを承諾します。
~映画ウォッチより~

【Trivia & Topics】
✥日本版チョ・イソだったのか。
平手友梨奈は「六本木クラス」でヒロインを演じていた。
つまり「梨泰院クラス」のチョ・イソ(キム・ダミ)の役だ
キム・ダミが圧倒的な存在感だったために「六本木クラス」は15分ほどで途中下車してしまった。
U-nextと再契約した時にもう一度平手友梨奈目当てで見てみよう。

✥原作者のお墨付き。
本作はビックコミックスペリオール連載の「響~小説家になる方法~」の映画化。「マンガ大賞2017」を受賞している。
原作者の柳本光晴は「実写化の場合響役は平手友梨奈しかいない」と太鼓判を押したそうだ。

【5 star rating】
☆☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。
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