shinobu

空気人形のshinobuのレビュー・感想・評価

空気人形(2009年製作の映画)
4.8
久しぶりに観たんですがやっぱり是枝作品で1番好きだ。

ぺ・ドゥナの素晴らしさは書ききれないから置いておいて…(好き♡)リー・ピンビンの撮影の素晴らしさは眼を見張る。

もちろんぺ・ドゥナ以外の役者人も素晴らしくて、ラブドールと板尾創路がセックスをするんだが、仮にマンガチックな所謂変態な演技をしてしまったら終わりだ。
が、そこは流石に我らの板尾。哀愁を帯びた中年を見事に演じている。

リアリティを持たすために、最初に何気無い日常のシーンを入れるのも上手いな。

色々と素晴らしいシーンを上げたいんだけどやはりARATAが空気を入れるシーンは本当に素晴らしい。

空気人気と板尾のセックスは男性本位でエロティシズムのカケラもないが(ラブドールだからいいんだけどね!)ARATAの空気を入れるシーンはエロティシズムに溢れ素晴らしい。何故か泣きそうになる。

正に生命の息吹を感じるシーンだ。ぺ・ドゥナの表情とか素晴らし過ぎる。一方通行の愛しか知らない人形が、コミュニュケーションや愛を知って行く過程が素晴らしい。

そしてARATAとのデートシーンでちょっと泣いてしまった。

あとですね、world's end girlfriendの音楽も本当に素晴らしい。

全然書き足りないけど、今回はこのへんで。

『生命は/吉野弘』

生命は
自分自身で完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする

生命はすべて
そのなかに欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思えることさも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?

花が咲いている
すぐ近くまで
虻(あぶ)の姿をした他者が
光りをまとって飛んできている

私も あるとき
誰かのための虻(あぶ)だったろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない

映画で引用される詩だけど重要なので書き写しました。
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