No.3850
三宅監督の長編第一作。
札幌を舞台にした、男子高校生3人組と、その周辺の人間たちのなんでもない日常を、モノクロで描いている。
高校生たちのモラトリアムというより、この映画そのものが一種のモラトリアムのようで、「何かの形になる寸前の、一瞬のきらめき」のようなものが捉えられている。
タイトルの「やくたたず」とは、そういう、「まだ何にもなっていない状態=モラトリアム」の、三宅流の言い換えなのだと思う。
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尺は76分だが、半分ぐらいまでは、これ何の映画? 何を見せられてるの? なんのこっちゃ??、と思いながら見ていた。
しかし、よくよく考えて見ると、おもしろいとか、おもしろくないとか、そういう次元の見方じゃないんじゃないのか?? と思い始め、
気づいたらあとは最後まで見入っていた。そういう映画。
この作品になにかしらの魅力を感じたとすれば、その魅力を言語化する力は、私にはない。
強いて言えば、「被写体から何かを必死につかまえようとする、三宅唱の真摯で愚直なまでの姿勢が、のちの ”ケイコ 目を澄ませて” につながっていったのではないか」
ということである。
そして、「なにかを必死に探り、つかまえようとするその姿勢に、もはや面白いもつまらないも、ないのである」
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三宅監督ファンなら必見だと思うが、残念ながら今のところ配信もなく、DVD化もされていない。
私は日本映画専門チャンネルで放送していたのを見た。