菩薩

やくたたずの菩薩のレビュー・感想・評価

やくたたず(2010年製作の映画)
4.0
限りなく大洋に近いブルーだと思ったがそれだと『青い春』になってしまう、これは明らかにその二歩ほど手前の「白い冬」である。肝心の『Playback』を観ていない俺に何が言えようか…とは思うが、監督がここで切り取っている「子供と大人の中間」と「遊びと仕事の中間」はその後の作品の確かな基礎になっていると思うし、この「なんでも無い様な事が幸せだったと思う」からの虎舞竜では無くトラブルの発生及びその回収と言うのも同じ事が言えそうな気がする。なんとも日本的な自分はなんもせん癖に態度だけは威圧的で「仕事しろ」としか言わない高橋ジョージ的な「父」なる存在と、艶っぽくありながら燃え上がる炎の如き暖かさを持つ三船美佳的「母」なる存在、それになんとも地方らしい「パイセン」の姿、高校卒業前にとりあえず免許が欲しいあの感じ、凄く良く分かる。絶対に怪しい事している会社組織と、その長の息子が警察官であると言うスリリングな関係、目上の人間に対してひたすら慇懃無礼な言葉遣い、そんな細やかな緊張感がこのなんて事無いお話に張りを与えていると思うし、なんせ紅一点のキョウコちゃん(とその娘?ちゃん)が潤いを与えている。処女作にしてこのどこまでも「観れちゃう感=ちょうどえぇ感」はやはり只者では無い、この人の面白さは本当に一体なんなのだろう…す、好きや…。
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