YokoGoto

クロエのYokoGotoのレビュー・感想・評価

クロエ(2009年製作の映画)
3.1
いざというとき、一番肝心なことを話し合えないのが男女の仲である。

距離が近くなればなるほど、相手の性格や考え方が手に取るように分かるようになり、言葉をかわさなくとも気持ちの交換が出来そうなものだが、肝心な事はなかなか言葉で確認できないのは、変わらないのである。
そんな、「ちょっと確認すればいいことなのに」という出来事がスレ違い、結果、とんでもないサスペンスへと導いてしまう物語。

熟年夫婦の妻役にジュリアン・ムーア。
ジュリアン・ムーアは、いつも、その物憂げな表情だけで、女性の心情を表現するのが上手い。
年を重ねても漂う美しさは健在で、現役の産婦人科医の役どころだったが、知的で美しい女性役がぴったりだった。

夫が浮気しているかもしれないという疑惑にかられた妻が、偶然であった若い娼婦に、夫を誘惑させて真実を突き止めようとするお話である。

中盤、だいたい話が読めたので、この物語の本筋はどこなんだろう?と考えながら観ていった。

中年に差し掛かった夫婦の、夫婦の形の変化へのとまどいや、肉体的な老いへの抵抗感など、割りと普遍的な問題が散りばめられていて、その妻の気持ちの動揺がジュリアン・ムーアの演技で引き立っていた気がする。

サスペンス部分は、わりと軽めであったが、ジュリアン・ムーアっていう女優さんの圧倒的な存在感を確認せざるを得ない作品の一つであろう。娼婦役のアマンダも美しかったが、存在感の重さには、だいぶ差があった。
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