MasaichiYaguchi

フリーランサー NY捜査線のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

フリーランサー NY捜査線(2012年製作の映画)
2.9
本作では、正義と悪とがうねりながら、暴力とエロスに彩られて繰り広げられる。
ニューヨークには、ブロードウェイや5番街の様に世界の文化をリードする繁華街もあれば、華やかさとは無縁で、きな臭くてダーティなクライムタウンもある。
この作品では、そのクライムタウンを舞台に、この町で生まれ育ち、警官になったばかりの若者の物語が描かれる。
「朱に交われば赤くなる」
「郷に入れば郷に従え」
これらの格言ではないが、周りの環境が「ハード」であれば、「綺麗事」では生きていけない。
純真な心を持つ人や、穢れ無き子供からすれば、「大人は汚い」と言われそうだが、「清濁併せ呑む」ことが出来て初めて、「一人前」のような気がする。
この「ハード」な環境で生きる主人公の若者、ジョナスを演じているのが、人気ラッパーで俳優のカーティス・“50セント”・ジャクソン。
この若者は、幼い時に父が非業の死を遂げていたりして、かなり複雑なキャラクターだが、ロバート・デ・ニーロとフォレスト・ウィッテカーという2人のアカデミー賞受賞俳優を向こうに回して、彼は丁々発止と演じている。
ロバート・デ・ニーロが汚職警官という悪役を貫禄で演じているが、このベテラン警官に引っ張られるかたちでジョナスは、ダーティな「副業」に従事することになる。
本作は、悪を描くピカレスクロマン映画だと思うが、後半からは、主人公の復讐劇となっていく。
ストーリーが展開していくにつれ判明していく、ジョナスの父の死の「真実」。
父の仇を晴らす為、主人公がどの様な策謀を巡らしたか?
共感出来ない部分もあるが理解は出来る、世の中を斜に構えて生きるジョナスというキャラクター。
タイトルの「フリーランス」の意味が最後に判明する本作は、単なる勧善懲悪ものではなく、主人公の生き様をクールに描いた「青春もの」だと思う。