りほこ

undoのりほこのレビュー・感想・評価

undo(1994年製作の映画)
4.7
違うジャケ写を見て、綺麗で思わず観た。

初めの5分は、この作品においてどうでもよかったり、伏線になっていたり、面白みを際立たせたりする。
この映画の初めの場面は、3つ目。
初めは1つ目のように感じる。矯正の銀の歯と、可愛い奥さんと亀。
夫は銀歯の取れた綺麗な歯をした奥さんに"なんか違う。"と言う。
亀には首輪をつける。

_坂を上った先の道端で、激しくキスをして
無数の子供たちが駆けていく。
グレーがかった青と、子供たちの黒とが
とても綺麗で
鳥の大群の中で取り残されたみたい。_

"縛られていたのか、解けていたのか"
これを愛の形って言うけど、そんな
繊細で脆い愛に頼る2人は
2人だけの存在では足りなくなって、
愛を縛ろうとした。

"縛る"ことに着目しているこの映画の、
最も優れている点は
物体でも概念でもない
亀でも過去の日記でも2人の愛でも
今が好きって気持ちを留めた写真でも
相手の帰りを待つ時間でも
梨でもない。
どれもが実は縛られていて、
縛っていて、
解けている。
縛るって概念にすら、縛られて
がんじがらめになって目を覚ます。
そこにはもう、
残っているのは中身ではなくて
周りを縛っていた紐だけ。

もっともっときつく縛っても、
どんどん解けているのに気づかない人は
自分を失ってしまう。
目的とか手段とか多分どうでもいい。
存在する価値そのものに気付けるか否か

不思議な話になっちゃった。
梨を食べて、寝ましょ
りほこ

りほこ