盆栽

ゼロ・ダーク・サーティの盆栽のレビュー・感想・評価

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)
4.0
正義に情けは無用


 ウサーマ・ビン・ラーディン殺害までを描いた、実話を元に製作されたフィクション作品。ノンフィクションではないので、あくまで映画(虚構)として観る『9.11』後の世界。ですが実際のところ、ビン・ラーディン殺害に関する情報は国家機密でもあるので、登場人物の名前などが「虚偽」で、それ以外は「真実」なのではないかとも捉えれます。

 本作は『9.11』そのものに取り憑かれた女性が、ビン・ラーディンを追い続けることで彼女なりの「役目」「責務」「正義」を見つける物語。
最初は惨い拷問シーンに目を背けてはいたものの、次第に自分さえも相手を脅迫していくようになります。そこから彼女の頭には「ビン・ラーディンの殺害」しかなく、より彼女にとっての「正義」が何なのかがジェシカ・チャステインの演技から伝わってきます。

 終盤から続くビン・ラーディンの隠れ家らしい家での暗殺シーンは圧巻。暗視スコープを使用しなければ周りは全く見えないリアルな状況。そして次々と銃弾を放つアメリカ兵。このシーンでは一貫して「アメリカの怒り」が描かれていると思います。
ラストで流すマヤの涙も含め、本作はアメリカの『9.11』に対する怒りを具現化した作品でした。
盆栽

盆栽