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ゼロ・ダーク・サーティのnaoズfirmのレビュー・感想・評価

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)
3.3

暗殺🎬

ストーリーは米海軍特殊部隊ネイビー・シールズによって遂行されたオサマ・ビンラディン暗殺をめぐる驚愕の舞台裏を描いた作品でした。日本に住んでいるとテロとは無縁だと考えていませんか?9.11では24名の日本人が亡くなりました。そして2005年にはロンドンでもテロが起きました。『ゼロ・ダーク・サーティ』で描かれる世界は他人事ではなく私達が生きている世界です。

9.11の際の緊迫した肉声テープで始まり、拷問描写、テロ描写、CIAの緊迫と焦り、徐々に徐々にビンラディンの居所へと迫っていく描写、そして突入作戦の描写、全てが終わった後の主人公の描写など脚本から演出まで素晴らしかったです。今作で最も大切なシーンは暗殺作戦のシーンではなく、ラストシーンです。最後、パイロットが主人公マヤへ「どこへ行くんだい?」と尋ねます。マヤは何も答えず、ただ静かに涙を流しました。このシーンがこの映画の全てです。主人公マヤはビンラディンを暗殺することをほとんど生きる目的として執念で成し遂げました。そんな彼女はそれが達成されても残るものは喜びではなく空虚だったのでしょう。それが涙となり、返せない言葉となったと思いました。この「どこへ行く」は私達への問いかけであり、世界への問いかけでもあるのです。ビンラディンはいなくなった。ではこれからどこへ向かうのか?ビンラディンはいなくなった、けれど世界は平和にならない。どうするか?非常に重いメッセージを備えたヘヴィー級の作品でした。
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