Tomo

アンチクライストのTomoのレビュー・感想・評価

アンチクライスト(2009年製作の映画)
3.5
またしてもラース•フォン•トリアー監督作品。遡るごとにどんどん理解不能になってきました。

まず、冒頭5分でこの映画を見るか見ないかが分かれる気がします。映像と音楽はこの監督らしさ爆発の芸術的センス。一方、性描写と子供が落下死する痛々しさが見る者を不快にする.....けど僕はここでは作品に入り込んでしまいました。

題名のアンチクライスト=反キリスト。反キリストであれば性欲は否定されるはず。ではなぜ、妻の性欲の高まりが強くなるのに題名はアンチクライストなのか?

ストーリー展開上、森の小屋(エデンの園)の中で、妻が研究していた中世の女性への集団暴力について、いつのまにか女性は邪悪であるという悪魔的な崇拝となってしまったことが分かる。
そういう思想となったことで、子供の死が彼女を狂気に導き、倫理観のなくなった常軌を逸したセックスへの欲望に駆り立てられ、キリストが教える性欲とは相反してしまうこととなる。その性的欲求の相違がアンチクライストということなのでしょうか?いや、書いてても自分でも納得できないし、説得力もありません。

ストーリー展開は、プロローグ、第1章〜4章、エピローグと6部で構成されますが、分からないことだらけです。

・森を高速で走りぬける時にサブリミナル的に見える顔
・森の中で出会う出産しそうな鹿
・夜、小屋の屋根に落ちてくる沢山のどんぐり
・朝おきたら旦那の手がぶつぶつ
・蟻にたかられる落ちた雛鳥、そして捕獲していった鷹
・血塗れでカオスがなんとかという狐(いたち?)
・3人の乞食の意味(鹿、鴉、狐)
・小屋の中から聞こえる死んだ子供の泣声
などなどきりがありません。もう1回みて考えてみます。

終盤の悪魔的思想にとりつかれ、狂気にみちた夫と妻の攻防、敢えて書きません。驚愕と同時に不快100%です。
問題のシーンが女性の性欲=邪悪とするアンチクライストの象徴なのでしょうか?

ラストも??。ただただ疲れ、不快で消化不良ながら、何とか理解してやろうと思う映画でした。

ウィレム•デフォーとシャルロット•ゲンズブール、2人とも顔、演技ともに一癖も二癖もある役者さんです。この狂気の作品にはこの2人しかいない、そう感じさせられる素晴らしさだったと思います。
Tomo

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