Nick

風立ちぬのNickのネタバレレビュー・内容・結末

風立ちぬ(2013年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

久々に、ある意味初めてちゃんと、観た!すごく二面的な感想になった!複雑!

とても心地の良い、繊細な美しさがある作品だったなと。
音楽だったり映像だったり、二郎の夢や菜穂子との関係性の描き方は、派手さはないけれど一つ一つが綺麗で素敵に思えます。個人的に雲や煙の描写がいちいち良いとも思いました。夢のパートの使い方も好き。

一方で正しいかは別として、これはすごく“諦め”の映画だなぁと感じ取れました。全体通して一本道っぽくて、特に最終盤は分かりやすく皆何かを諦めている様に思えるし(菜穂子とかいつの間にか現実的に達観してしまったのか結核治す気薄れてるじゃん)。

そこは宮崎さん自身から来るところなのかなーとも。「美しくも呪われた夢」と劇中で言われてた飛行機を、「作品」に置き換えて観ていると、そんな気になったなと。二郎の声が庵野さんだったりするのもメッセージ的に思えてしまうし、そう感じる要因なのかも。庵野さんはどう感じたのだろう。

自分はそうした所から、諦めつつもそれを受け入れ前に進もうというメッセージを感じて、それは「貴方はどうする?」的なところに繋がるのかもだけど、自分は諦める前に足掻くことを選べる人間でありたいと思いました(作中の彼らは描かれてないところでめちゃくちゃ足掻いているかもだけど)。

この作品はとても美しい映画だと思うし、静かな風のような心地よさはやっぱり好きです。
だけれども、この作品から感じる諦念はどうしても苦手で、この作品のそうした部分には否定的でありたい自分がいます。
Nick

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