Yucar

風立ちぬのYucarのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
3.0
都合が良すぎる奈緒子像が気持ち悪い話。駿の理想の女性像の問題点が最も如実に出てる作品で見てられないレベル。「ものづくりに邁進する(何かに打ち込む)男たるや、辛いけど菜穂子でなく仕事を選ばざるをえない、虚しさもあるが生きよう」といった男のロマンチシズムが描かれてたのかなと思う。二郎が仕事を選んだこと(菜穂子に寄り添わないこと)で生じる葛藤や罪悪感を正面から受け止めていない、受け止めずに済むような都合の良い菜穂子の人格と展開になっていることが、この話の気持ち悪さだと思う。ナルシシズムとセルフカタルシス感が気持ち悪い。もし菜穂子がやっぱり一緒にいたかった我慢してたし応援したい気持ちと辛い気持ちの葛藤があったことやそれを二郎は受け止めてはいるが応えられない強烈な罪悪感に苦しむところ等が描かれていたら全く味わいの異なる血の通った人間の話に感じれたと思う。
作り手の願望をパンパンに詰め込まれた菜穂子の人格が見てられない。菜穂子が自分で選んだことなので仕方なかった、菜穂子は全て分かってくれて受け止めてくれる、菜穂子はそんな私を否定せず生きてと励ましてくれる。
冒頭や飛行機へのパッションのシーンなど良いところもあったと思う。
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