ジブリ新作公開を受けて、そちらを観る前に今作を鑑賞しておこうと思い、DVDをレンタル。
作品として上手く仕上がっており、ストーリーも心揺さぶるものだった。しかしジブリ作品らしいテーマ性を今ひとつ欠けていたようにも感じる。
普遍的な主題に迫るよりも、これはむしろ1人の男の人生に焦点を当てて丁寧に紐解く作品だった。
※以下ネタバレを含みます
好きだったシーンは菜穂子が山を降りて二郎のもとへ行き、そのまま結婚式を挙げたところ。2人の覚悟、仲人の気持ち、人間の愛おしさが凝縮されていた。
菜穂子が人知れず家を離れて山に戻るシーンでも、「1番綺麗なところを好きな人にみてもらいたかった」というセリフが刺さり、そのごに二郎の反応が描かれなかったのも肝だと思う。
映画として今作は夢で始まり、夢で終わった。1人の男の人生は夢のままに消えていった。クライマックスシーンにも解釈の余地を残しつつ、己の歴史の不勉強を恥じた。
