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風立ちぬのserinaのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
5.0
結核を患う愛する女性の前にして、タバコを吸うのをやめるかっこいい堀越二郎を描くことができたのに、それをしなかった宮崎駿先生。なぜなら限りある命の終着点がすぐそこに来ているとわかっている菜穂子の望みが、二郎が自分のためにタバコをやめる事ではなかったからだ。二郎が菜穂子と同じだけ愛していた飛行機設計、ふたりを2度も巡り合わせることになった飛行機設計をやり抜いて欲しかったからだ。例え、それが自分のところに戻ってくることなく、人を殺すための道具だとしても、憧れで美しいものなのだから。それを分かっていた二郎は、あの時もすぐそばでタバコを吸い続けてた。世の中、愛が何か分かってない人が多すぎる。偽愛に陶酔してる奴ら全員『風立ちぬ』観たら?

『風の谷のナウシカ』でも許されず、『となりのトトロ』でも許されなかった宮崎駿先生の本当に描きたかった綺麗事を省いた映画だったことに納得。これはさ、引退作品ですとでも言わないとめちゃくちゃに言いたい放題いう人たち出てきますもんね。嘘です。引退宣言撤回ありがとうございます。新作本当に本当に待ってます。ご自愛ください。タバコはやめ……。
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