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かぐや姫の物語のQooQooのレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
2.3
原作の「竹取物語」のほうが人間の愚かさや欲深さ、そして、必然的な不条理や罪悪感、儚さが描かれていて好み。

ジブリ版は、一言で言うと、かぐや姫の背負っているものが小さい。軽い。責任感や罪悪感が圧倒的に足りない。というか存在してない。「竹取物語」の本質を無視している。

原作では、かぐや姫は秘密を胸に抱えたまま、できる範囲で人々に慈しみや同情をする。が、周囲の人々から勘違いされ、まるで理解をされない。
それでも育ての親を悲しませないために事実を隠しつつ、気丈にふるまうかぐや姫。とり囲む世界が欲や罪にかこわれてゆき罪悪感も膨らんでゆく。

最後は運命と、自分の言動と、気持ちとの乖離に心が決壊してしまう。そして、羽衣を着て心を消去し月へ帰る。せめて、せめて、これだけは、という思いを残したまま。

ジブリ版の方がよかった点は、5人の挑戦者のくだりが短かったこと。原作はダジャレみたいになってて、助長に感じていたので。

現代に合わせて、ピュアでいようよ、大切なのは子供心だよ!みたいな軽い作品に仕上がっている。原作の責任感に伴う罪悪感や不条理さが損なわれてしまっている点が致命的に感じた。

この作品は子どもっぽさ、純粋さに焦点が合わされている気がする。原作の表現したかったこととは違う。軽すぎる。
あと、現代に寄せ過ぎ。毒親みたいにし過ぎだし、女性を美化しすぎ。鑑賞者へ媚び売りすぎな感じで芸術性が低い。ポニョじゃないんだからさあ……。内容がぬる過ぎる。

ちょっぴり切ないお話どまり。
一般受けを狙い過ぎてて、あまり好みではない。
あと無駄に長いかな。もう少し削ってよかった。詰め込み過ぎ。
兄ちゃんとの関係とか中途半端でいらんかな。なにがしたかったのか。

が、絵の表現が綺麗。ここだけは流石。
表現だけでも見る価値はある。
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