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かぐや姫の物語のminoのネタバレレビュー・内容・結末

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

高畑勲監督の、映画史に残る素晴らしい遺作。

特にすごかったのは2つ。

英語字幕で邦画を観ることが多いのでこれもそうやって観ていたときに鳥肌が立ったのですが、
「まつとし聞かば今帰り来む」の英訳が素晴らしかった。この「まつ」は「待つ」と「松」の掛詞なのですが、英語字幕でもそれが成立してました。
"If I hear that you pine for me, I shall return to you at once."
To pine for とは、誰か・何かを恋しく思うこと、思い焦がすこと、です。で、pineには松という意味もあるので、日本語での詩と同じ表現が英語でできていたことに鳥肌が立ちました。

もう一つは、「生きている手応えさえあれば!」です。
その場面でこの作品のテーマがわかりました。
そうして思い返すと、「都市」「田舎」、「人工的なもの」「自然」、「男性」「女性」といった対比が度々表現されていつつ、そのどちらも自分の人生に満足してはいなかった。「生きている手応えとは何か?」がこの作品が投げかける問いで、また、僕たち多くの人がずっと昔から、今も、見つけられないでいるものなのだと、そう思いました。
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