OASIS

パラノーマン ブライス・ホローの謎のOASISのレビュー・感想・評価

3.7
「コララインとボタンの魔女」のライカ・エンターテインメントが手掛けた3Dストップモーションアニメ。
魔女狩りが行われた街を舞台に、死者と会話のできる少年が自らの宿命を受け入れ街の秘密を解き明かそうとする姿を描く。

初めて3Dカラープリンタを使用して作られたストップモーションアニメで、より人物たちの表情や動きがなめらかになっていた。
「コラライン」のようにダークな世界観であるけども、小さいお子様のいる家族でも安心して観られるゾンビ映画という珍しいジャンルのものだった。

ストーリーとしては、特別な力を持った少年が社会からつまはじきにされながらも、自分の役割を全うしてやがて周囲に認められるようになるという王道。
そこにゾンビ映画に対するオマージュやら抜けた笑いなどを追加して物語を構築している。

どたばたコメディから徐々にドラマへとシフトして行く様も非常に上手かった。
魔女裁判とゾンビといった、恐怖の対象となるべきものと恐怖する人達の境界に主人公を配置させる事がラストの感動的な別れに生きてくる。
主人公とその周囲には、虐げるもの虐げられるもの両方に恐怖心があって、お互い知らず知らずにその溝が大きくなっていくというイジメの構造が見える。
ファミリー向けにしてはなんとも辛すぎる良作だった。

目新しい技術は無いように見えるが、感情や心情を表現する能力は格段に向上しており登場人物それぞれの動きの細かさを見るのも面白い。
「ファンタスティックMr.FOX」や「コララインとボタンの魔女」辺りが好きな人にはオススメ。
ゾンビ映画好きは観て損なし。
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