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海と大陸のりのレビュー・感想・評価

海と大陸(2011年製作の映画)
4.3
フィリッポが鏡の前で髪を整えているショット、どうやって撮ったのか気になる。鏡の中の視点から映してると思ったら、その情景よりも全面にフィリッポの実態が現れて、では最初に映していたのは鏡の中の出来事をという事になるけど、カメラなんてもちろん映ってなかった。不思議。

鮮やかな色彩、特に青が綺麗。海の色と空の色、遠くの島の縁の色、すべて青だけど同じ色ではなくて美しかった。
海へのゴミ放棄、島を支える漁業の衰退、難民問題、発展途上国のレイプ…こんなにたくさんの社会問題に取り組むなんて凄まじいエネルギー。
溺れている人がいたら助けたいって思うのが人間として当たり前の感情なんだけど、助けると法に触れる事になる。しかも救ったとしてそのあとどうすれば良いかとか、不法入国補助で自分達が失う物があまりにも多すぎる現実。難民問題、遠い国の出来事だからわたしたちはこんなにも呑気なんだな。ニュースで報道されているような映像しか知らない。だけど、まさにその問題に直面してる最前線の人たちにとってはそうもいかない。生活を脅かす悪夢、と思う人だっている。助けを乞う人たちを目の前にして、無慈悲に無視なんてしたくないし、出来ない人だっている。
船の上で踊り歌い海へと飛び込んでいく何も知らない観光客と、決死の覚悟で海へと飛び込んで行かざるを得ない難民たちとの対比、とても皮肉的だった。
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