洋梨

建築学概論の洋梨のレビュー・感想・評価

建築学概論(2012年製作の映画)
4.0
またしてもヤラれた。これだから韓国映画と韓国人は嫌いになれない。
伏線となる小道具の使い方が抜群で涙腺を直撃する。食材を突っ込みっぱなしの冷蔵庫、蹴飛ばして壊した扉、パチもんのTシャツ、渡せなかった模型、そしてポータブルCDプレーヤー。それぞれの小道具に、二人が会っていた時、会わなくなった後の心の機微を暗に語らせる。
韓国人はぞんざい・横柄で厚かましく、息を吐くように嘘をつき、すぐ怒鳴りすぐ殴ると言われるが、本作のような繊細さと情の深さを併せ持ち、そして何より隠喩に趣きを感じる詩人である。多面的であるから面白く、真逆の感情を豊かに併せ持つから魅入られる。本作のような映画が作られる限り、どんなに韓流が廃れても韓国映画を観続けるのだろう。
評判が良かったので映画館に観に行こうかとも思ったが、やはりDVDで観たのは正解だった。いい年のおっさんが映画館で大泣きするのは流石に憚られるもんなあ。
洋梨

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