トメさん

そして父になるのトメさんのレビュー・感想・評価

そして父になる(2013年製作の映画)
3.6
父親はいつから父親なのだろうか。

自分が子供の頃、自分の父は父親完成形だと思うことが普通である。

でも、父親だって、全部初めてなのである。一人っ子なら尚更だし、兄弟がいても第二子を育てるのは初めてと考えれば、初めてだ。


中には自分自身が子供をもったときに、「自分は完全な父親になった」と思ってしまう人もいる。それは父親としての自信ではなく、単純に人として、先を歩いてきたのことによる自信である。そこを勘違いしてしまうといつまでも父にならない。


この映画では、初めから父親は完璧である、自分もそれに恥ずかしくない人生を送ってきたと自負している主人公が自分が父親としては不完全である、そして一緒に子供と成長していくんだというのを気づかされるという流れ


「そして父になる」は「そして(やがて)父になる」という話

一見すると福山雅治とリリー・フランキーは父親としての悪と善というような対比構図としてみられるが、ただ福山雅治は完ぺきな(というか厳格な)父をみてきたから、リリー・フランキーは分からないが不完全な父を見てきたというだけの話なのではないか。そういう人間性の違いというか、ただ早いか遅いか、見てきたか見ていないかの違いだけなのである。赤ちゃん取り違えの一件で、福山雅治はそれを気づけた。不幸なことだけど、幸せなことでもある。

監督がなにかの対談でいってたが、リリー・フランキーが福山雅治を叩くシーンがあるのだが、本当はおもいっきり殴るという設定だったのが、リリー・フランキーのアドリブか偶発的なもので、映画のような仕上がりになったらしい。でも、それをみて監督はリリー・フランキーのアドリブのほうがしっくりきたとのこと。

それを聞いて思い返してみると、あの殴りかたのほうが緊張感、性格をとらえてるな思えた。


あとケイタくんが、カメラあげようかと福山雅治に言われて、「いらない」っていった伏線ががあとで回収されてて、よかった。「ぼくはお父さんをずっと見てたよ」っていう自己主張。子供って小さいながらにもしたたかなところあるよなー、という演出。子供をただの純粋無垢な感じしすぎてなかったところも見所の1つだと思った。
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