シュバルス

そして父になるのシュバルスのレビュー・感想・評価

そして父になる(2013年製作の映画)
3.5
是枝監督の中では一番観やすく好きかも。
テーマがわかりやすく、事件によってそれが浮き彫りにされて自然と掘り下げられて行く。
基本的には良作。
ただこれだけは言いたい。
リリーフランキーが善として描かれすぎて嫌。
あんなもんやさぐれたクソ親父だろ。
金もねえくせに子供ばっかこしらえやがって。
貧乏でも愛があれば子供は幸せでまともに育つって貧乏知らんだろ。
リリーフランキーに引き取られた子供は最初は福山の援助で高ランクの教育は続けるだろうけどそう長く援助なんか受けられない。
すぐに底辺に落ちた時本当の意味での妬み嫉みからの葛藤し絶望そして両親への憎悪は容易に想像できる。
逆に福山の家に引き取られた子供は最初こそ居心地の悪さを感じるだろうが、直ぐに慣れ、福山家の世間に比べて如何に勝ち組に属しているか簡単に理解するだろう。
そして自身の境遇に葛藤しつつもサルベージされた幸運に打ちひしがれるだろう。
そして思うのだ。
両親は何故本当の子供でもないあいつに援助などするのだろうかと。
本来は自分に100パーセント注がれるはずだった愛情、そして資産が何故関係のないあんな奴に流れて行くのだろうかと。
勿論その思考は直ぐに表面化し福山家族はその歪さを正して行くことになるだろう。
この映画の安っぽい貧乏でも幸せ論など現実ではありえなくリアリティに欠ける。
誰もが良い暮らしをしたいのだ。
誰もが良い環境で十分な教育を子供に施したいのだ。
誰もが欲しいものを買いたいのだ。
福山のマンションに行ったリリーフランキーの嫁はその暮らしの豊かさに表面では出さないにしても帰りの電車内で羨みそして妬むのだ。
もう少しその辺りの片鱗だけでも観せてくれれば大分この映画の深みはより出たんではないかとも思った。
あと流石に福山が家族に対して不器用に描かれ過ぎなのは実際福山に家庭が無いせいだろうな。
親との接し方はリアルだったけど子供に対しての接し方に全然リアリティを感じなかった。
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