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アメリカン・プリズンのTLsのレビュー・感想・評価

アメリカン・プリズン(2010年製作の映画)
3.7
パケ写の悪なエド・ハリスを見てカッコいいプリズンギャング物が見れると期待してみたが主人公は彼の息子で出所し、足を洗うまでを描いた映画だった。少しがっかりしたが、クライム映画としては一通り基本は押さえているので退屈はしなかった。

冒頭で二人の少年は砂浜で隠していたタバコを吸い、そしてエドハリス演じるリアムが息子の友人を守るためにその父親を殺すところから始まる。砂浜の少年達の一人はリアムの息子であり20年後、それぞれの生活が描かれる。リアムは刑務所内で白人至上主義ギャングのボスとなり、リアムの息子もまた刑務所内で賭け試合の選手として名を馳せる。そしてこのリアムの息子が主人公であり彼が出所し存在を知らなかった自身の息子をはじめとする暖かい存在に触れ足を洗うことを決意する。このようにこの映画はどこかで見たことのあるような内容が多く、さらに映画『トレーニング・デイ』のような悪徳警官が登場したりなど色々な犯罪系映画の流行物を一通り押さえている印象がある。題名はプリズンとあるが刑務所のシーンはあまりなく、リアムのボスとしてのシーンも少ないので少し期待してたものと違った。

しかし、主人公が自身の行動を父と重ねるシーンや砂浜に隠していた思い出の品などノスタルジーに訴える描写が多く、その点はとても良かった。また、格闘シーンはよく出来ている方なので、そこまでチープなイメージもなくアーリアンやブラッズという単語を使うのもリアルな暗黒街を描写しようという気概が見れる。父と子という関係はクライム映画にはありがちの要素だが、その要素があるだけでも物語に深みがでるので私は好きだ。特にリアムと主人公が20年越しに対面するシーンは良かった。また主人公を取り巻く人間も悪徳警官以外はいい人が多く、みんなでビールを飲むシーンなどは欲望が渦巻くクライム映画には珍しく、日常の些細な幸せをゴールとして描いている。このような点もこの映画の長所といえる。

終始盛り上がりには欠けるが、俳優の演技はしっかりとしているのでそこまでチープさは感じなかった。エド・ハリスが主人公ではないのでパケ写詐欺のように思われがちだが結構出演時間は多いので、クールな悪ハリスを見たいかたは是非。
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