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ブラックハットのTLsのレビュー・感想・評価

ブラックハット(2015年製作の映画)
4.0
サイバーテロとアジアを中心としたロケーションが特徴のクライム映画。マン監督がアジアの雰囲気が好きなのは、彼のフィルモグラフィを見ると一目瞭然。しかし、どうも外から見たアジアというイメージが払拭できず、全編LAで撮影してもよかったのではないかと思うが内容自体はしっかり楽しめた。

相変わらず細部のプロっぽい動きの描写は流石。自分が思うハッカーのカッコよさは、PCをはじめとする電子機器を使い捨てとして扱う点にある。本作はそんな自分のフェチを満たす描写が沢山あり満足した。銃火器んぼ扱いは勿論、腹に雑誌をまいたり即席で武器を作る描写もよい。マン監督らしく、銃声の音質も迫力があった。特に序盤で主人公が看守たちに制圧されるシーンの彼らの手際の良さが印象に残っている。また撮影においても、マン監督らしい夜景や臨場感のある移動など彼のファンなら見覚えのある技法が沢山あった。このような撮影、描写の積み重ねが一時的に保釈されたイケメンハッカーという非現実的なストーリーに少しだけ説得力を持たせている。

脚本自体は、かなりボリュームがあり2時間13分の中で様々なロケーションを見せてくれたので満足した。しかし、詰め込み過ぎという印象があり一部キャラクターが使い捨てされている印象もあった。主人公とヒロインのロマンスもフィナーレが復讐劇になるので、不要であるとも思う。このロマンスの代わりに連邦保安官やFBI捜査官の絆を深めるパートを挿入した方がよいと考えるが、仮にそうなったとして作品の印象が大幅に変わるかといったらそうはならないと思う。なぜなら、この映画の魅力はサイバーテロ、アジアを中心としたロケーションであるからだ。一部マン監督ファンには受けるかもしれないが。

世間で言われているほど悪くはなく、しっかりと楽しめる作品。冒頭で外から見たアジアと述べたが、料理店の雰囲気を調理場を見せて伝えるなど、一部上手くいっているところもあった。今日は中華にします。
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