うらぬす

闇を生きる男のうらぬすのネタバレレビュー・内容・結末

闇を生きる男(2011年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

男性の機能を奪われたために男性ホルモンを己に注入し続け、結果として暴力衝動や過剰に筋肉質な肉体というまさに「男性性」を手に入れた男が、組織的犯罪として牛にホルモンを投与するという二重の皮肉。そんな偶然ふつうはありえないし、仮にホルモンマフィアを題材に映画を作ろうという考えが先行していたのであれば、こんな特殊な事情を抱えた男を主人公に据えるのはいささか安直な気もするけれど、抑制された仄暗いトーンの中で一際目を引くマティアス・スーナールツの演技と、悲愴感の漂うラストの前には黙るほかなかった。