うらぬすさんの映画レビュー・感想・評価

うらぬす

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ブリッツ ロンドン大空襲(2024年製作の映画)

3.7

いかにもこの監督らしいあまりにも洗練された映像・美術は魅惑的でそれだけで一見の価値はあるが、親子の物語としてはかなりシンプルで、戦禍の苦難の描写も物足りず、正直なところ不完全燃焼だった。

リロ&スティッチ(2002年製作の映画)

3.8

良くも悪くも様々な要素が詰め込まれている。不思議な生き物との絆を描いた心温まるドラマや、自らの出自にアイデンティティを縛られる必要がないという重要なメッセージを中心に描いておきながら、終盤にいきなりア>>続きを読む

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.9

植民地主義や信仰の危機が、美しくも殺伐としたアイスランドの自然を背景に詩的で寡黙なトーンで描かれていて、かなり印象的だった

MaXXXine マキシーン(2024年製作の映画)

3.9

女性を縛り付けるくだらない軛を破壊する爽快さ。思いの外ちゃんとフェミニズムをやっていることは素直に良かった。ホラーとしてはやや弱かった。

デッドストリーム(2022年製作の映画)

3.7

このタイプのホラーはどんなによく出来ていても自分にはあまり刺さらないのだということを再確認して終わった

プレデター:最凶頂上決戦(2025年製作の映画)

4.1

ストーリーに特筆すべき驚きはないものの、手加減無しのゴア表現と、絵画的な質感で陰影が際立った「アーケイン」を思わせるCG映像が、そんな不満を綺麗に吹き飛ばしてくれる。美しさと醜悪さ、洗練とグロテスクと>>続きを読む

ボーイズ・ステイト(2020年製作の映画)

4.0

現代社会の実際の政治の縮図そのもので、凄く気が滅入った

CURE キュア(1997年製作の映画)

3.9

神経症的に鳴り続けるノイズのような重低音、色彩を欠く抑鬱的な映像が、(催眠の影響下にあるとはいえ)殺人にまで至るほどの憎悪が実はありふれたものであるという事実をより一層恐ろしく見せている

深い谷の間に(2025年製作の映画)

3.5

SF、ホラー、アクション、スリラー、ロマンスを融合させようという挑戦的な試みは敢えなく失敗している。それでも映像・音響が素晴らしいおかげで一応最後まで飽きずに観られる。この作品に対して企画段階でNGを>>続きを読む

呪われた絵画(2023年製作の映画)

3.4

低俗気味なやりたい放題のゴア描写強めのホラーだとは正直夢にも思っていなかった(事前に情報を一切仕入れていなかった)からちょっと面食らった。必ずしも自分の趣味じゃないけど世の中にはこういうホラーも必要だ>>続きを読む

秋が来るとき(2024年製作の映画)

4.0

絵葉書のような美しい風景をバックに、秘密と後悔が人生にもたらす陰りを、予想外の方向に展開していく控えめなサスペンス風味のメロドラマの中で追求した秀作

コンパニオン(2025年製作の映画)

4.0

女性を支配・抑圧し操ろうとする有害な男性像と、高度なAIを自分の都合の良い道具としてのみ扱おうとする愚かな人間の在り方を重ね合わせた、啓発的で興味深いスリラー

セカンドステップ 僕らの人生第2章(2024年製作の映画)

3.7

16mmフィルムの少しざらついたノスタルジックな映像、不安定な手持ちカメラや極端なクローズアップによって、人間的な揺らぎや温かみがうまい具合に表現されている。ちょっと奇妙な会話や、哀愁漂うユーモアが、>>続きを読む

テトリス(2023年製作の映画)

3.6

スリラーとしてはまずまず。テトリスの権利争奪戦を題材にするというその着眼点は良いものの、映画としての見栄えのための脚色がやや目立ちすぎているようにも思える。

その道の向こうに(2022年製作の映画)

4.2

沈思黙考に誘う静かなトーンで、トラウマからの緩やかな回復を描いている。心の空洞を繊細に表現してみせたジェニファー・ローレンスとブライアン・タイリー・ヘンリーの演技は文句の付けようがない。

デビルズ・バス(2024年製作の映画)

3.9

家父長制や宗教の抑圧によって一人の女性が不可逆的に病んでいく様を、陰鬱な風俗画のような、その美しさが却って悍ましさを強調している映像で綴っている。Soap&Skinの奇妙に捻じれた音楽も素晴らしい。

ノーヴィス(2021年製作の映画)

4.1

完璧主義の有害性を、スポーツドラマの皮を被った心理スリラーの形で鋭く指摘する佳作。映像は陰鬱でドラマチックでかなり良くできているけど、何よりもイザベル・ファーマンの苛立ちと疲労が色濃く滲む、鬼気迫る演>>続きを読む

グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(2024年製作の映画)

3.7

ストーリーにも人物造形にもなんら心惹かれるものがない代わりに、ド派手なアクションは金がめちゃくちゃ掛かっている感じがして良い。

ガール・ウィズ・ニードル(2024年製作の映画)

4.2

冷酷な殺人を非難するのは簡単だけど、女性が自力で我が子を育てることを諦めさせてしまう社会の歪み、劣悪な環境こそがこの忌まわしい罪業を生んでしまったのだと考えると、言葉を失う。人が持つべき道徳が蝕まれて>>続きを読む

ノスフェラトゥ(2024年製作の映画)

4.3

忍び寄るような冷たい恐怖と、退廃的で時に不快さすら滲む官能を、陰影を巧みに操る美しい映像で描き切った傑作。ロバート・エガースは映画監督としてもはや巨匠の領域に到達している。

サブスタンス(2024年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

女性の若さを過剰に礼賛し商品化して売り出すあのプロデューサーこそ、女性の老いに対する社会的なプレッシャーの増大の片棒を担いでいて、即ちこの男は直接的にも間接的にもエリザベスの自己嫌悪や苦しみの原因の一>>続きを読む

フィンガーネイルズ(2023年製作の映画)

2.9

申し訳ないけどSFとしては安っぽくて馬鹿げた設定だと思ってしまってあまり話に集中できなかった

ぼく モグラ キツネ 馬(2022年製作の映画)

4.1

時にメッセージが明快なあまりいささか教訓的すぎるのが玉に瑕。そもそも子供向けの絵本なんだから当たり前だけど。
ただ、その一点に目を瞑れば短編アニメとして完璧。手描きのアニメーションと水彩画風の背景美術
>>続きを読む

流されて(2020年製作の映画)

3.9

小さな田舎の町で育まれた友情に綻びが生じる様を、ポール・メスカルが細やかな演技によって見事に表現している

アッシュ 〜孤独の惑星〜(2025年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

サイケデリックで艶めいた映像とざらついた電子音楽による過剰なまでの演出を次から次へと畳み掛ける様は、さながら極彩色の地獄絵図。ゲーム「Dead Space」や「バイオハザード」の影響をもろに受けている>>続きを読む

スポイラー・アラート 〜君と過ごした13年と最後の11か月〜(2022年製作の映画)

3.9

ド直球の愛と喪失の物語をゲイカップルで描くこと自体が(まだギリギリ)意義のあることだということはよく分かるけど、それにしたってド直球、というかお決まりのパターンそのまますぎる(実話の原作に基づいている>>続きを読む

めくらやなぎと眠る女(2022年製作の映画)

3.8

意味深長で実存的な問いと明晰夢のようなシュールな奇想を巧みに織り交ぜながら、水彩画のような詩情豊かなタッチのアニメーションで観客の心を静かに揺さぶる。村上春樹作品の映像化としては比較的成功している部類>>続きを読む

恐怖ノ白魔人(2014年製作の映画)

3.5

いかにも低予算で粗削りながら尖ったアイデアで異彩を放つB級ホラーという装いなのに、意外なくらい堅実でウェルメイドな住宅侵入系のホラーでちょっと拍子抜け。