異人たちのうらぬすのレビュー・感想・評価

ノスタルジーと呼ぶにはあまりにほろ苦く、マジックリアリズムにしては曖昧模糊たる趣で似て非なるものに思える、かなり不思議な作品。とはいえ、全体の印象として掴みどころのない輪郭を持っている一方で、過去に負った癒えない痛みと共に生きていかざるを得ない喪失感・孤独感を率直に描いてもいて、胸を打つ場面が多々あった。瞑想的なアンビエント・ミュージック風の音楽も素晴らしい。
ポール・メスカルは着々と時代を代表する名優の座に近付いている。