クリーム

闇を生きる男のクリームのレビュー・感想・評価

闇を生きる男(2011年製作の映画)
3.8
登場人物をしっかり把握しないと解りにくい作品だった。ベルギーと言えば、デ·ブライネ、アザール兄弟、大好きなヴィツェルとサッカー選手しか浮かばないのだが、ホルモンマフィア?何だそりゃ?初めて聞くワード。違法な薬剤を牛に投与して荒稼ぎする組織だそう。本作は、その事件にインスパイアされたもの。面白い内容なのに地味だし解りにくいのが、勿体ない感じだった。
子供の頃に過酷な試練を与えられた畜産農業者のジャッキーが、ホルモンマフィアと警察との事件に巻き込まれていく様を彼の過去を振り返りながら、描いている映画です。




ネタバレ↓





無認可の牛ホルモン剤を捜査していた警察官が殺され、ジャッキーは疑われますが、これは全く関与していない濡れ衣。牛に投与していたのは、通常より2週間早く太り、体重も10%重くなる。30分で使った痕跡もなくなると言う違法薬剤で、そっちは黒。
20年前、マフィアの息子ブリュノが自慰行為をしようとする所をジャッキーと親友のディエドリックに見られ、追い掛けて来たブリュノに睾丸を潰されたジャッキー。一生男性ホルモンの投与が必要な身体になってしまった。証言出来るのは、ディエドリックだけだが、彼の父親は、ブリュノの父親が怖くて息子の証言を断ります。ディエドリックは、警察の車を追い掛けて事故じゃない!と叫んだのに誰も聞いてくれなかった。ジャッキーの父は別の罪でディエドリックの父を告発し刑務所送りにした。結局、ディエドリックの父は、息子に口止めして自殺した。
ディエドリックは、現在、警察の情報屋でゲイ。睾丸を潰されなかった方がゲイだなんて皮肉な話なのだが。
ジャッキーは、ホルモン注射の効果もあり、屈強な筋肉を身につけて見た目はイケてる男性なのに女性に対しては臆病。「射精はできるだろう」と医者は言っていたが、精神的にダメなのだろう。その代わり暴力的衝動は強く、クラブでルシアと仲良くしていた男を半殺しにしたり、精神的に病んでまともな返答も出来ないブルーノを徹底的に脅しまくる。 20年に渡るホルモン剤の影響で制御が効かなくなっていたのかも知れない。ラスト警察が来る前に大量のホルモン剤を摂取する。その後、警察に取り押さえられ暴れるシーンは、狂暴で警官2人掛かりでも負けるパワー。まるで制御の効かなくなった暴れ牛。結局、銃弾が当たって亡くなるのだが、違法なホルモン剤で牛を育てて来た家庭の息子が大量のホルモン剤投与で制御が効かなくなり命を落とす。皮肉な人生だった。
終盤でディエドリックっと仲直りし、味方してくれたのに残念で、悲しい物語でした。また最後の暴れるシーンは、見せ場なのでもう少しちゃんと観せて欲しかったし、もっと派手にしても良かった気がする。
ジャッキーの苦悩は、想像を絶するものだったと思う。良く表現されていたと思います。
クリーム

クリーム