クリーム

私の、息子のクリームのレビュー・感想・評価

私の、息子(2013年製作の映画)
3.8
母にも息子にも感情移入出来ない客観視作品。こちらもルーマニア。やっぱり、国が闇深いと国民も生きる為に色々と知恵を使う。富裕層は、金やコネでなんでも解決出来てしまう国。国が守ってくれない以上、自分達の身は自分達で守る術なのかも知れないが、こんな状況では、良い国になんてならないだろうな。興味深い作品でした。

コルネリアはブカレストに暮らす舞台美術家で、富裕層。恋人に骨抜きにされた30歳の息子バルブは、過保護な母を疎ましがる。ある日、バルブが交通事故を起こし、少年を轢き殺してしまった。コルネリアは妹と警察署へ行き、法律の知識やコネを使ってバルブの罪を軽くしようと、陳述内容にも口を挟むのだった。



ネタバレ↓



取り調べ後、コルネリアはバルブを連れ帰った。コルネリアと夫は、警察に任せず自分達でなんとかしようと決めます。バルブは、まるで他人事。コルネリアは、貧困層の被害者家族の為、葬式費用を出し、起訴を取り下げて貰おうと考えていた。
そして、被害者の葬式に参列する様、バルブに言うが、驚く事に嫌だと言います。バルブは干渉するな!と暴言を吐き、恋人カルメンの元に帰って行った。
コルネリアは事件の目撃者に会い、証言を金で変えさようとしますが、法外な金額を要求され、交渉は決裂。
バルブの留守中にカルメンに被害者の親に会うようバルブに伝えて欲しいと頼みます。カルメンは、事故の前からバルブとは別れるつもりだったと告白します。理由はバルブが頑なに子供を欲しがらない事だった。
3人は被害者の少年の自宅へ行きますが、バルブは車を降りません。コルネリアはカルメンを連れ、家族に会います。少年の父は息子を失った悲しみと事故直後にバルブがとった態度への不満を訴え、償ってほしいと言う。コルネリアはバルブを庇い、涙ながらに許してほしいと懇願した。葬式への参列を申し出たが断られ、お金を差し出しその場を去った。車に戻ると、少年の父が見送りに出てきた。その姿を見たバルブが降りて、少年の父のもとへ行き話し始めた。そして、握手を交わす2人の姿が見えた。

被害者は亡くなっているのに全く気にせず、息子の罪を軽くする事しか考えていない母。父は母のいいなり、警察も彼女の権力を知ると便宜を図らせようと平気で取り引きする。これがルーマニア現状だと思うと一般の人達は気の毒だ。
息子は駄目人間のクズ男。驚いたのは、自分の過失なのに謝罪に行こうとしない事。母も一般常識は皆無。謝罪に行ったのに「お宅はまだ子供がいるけど、私にはたった1人の息子だから助けて欲しい」と泣く。馬鹿過ぎて呆れました。ラストに息子が被害者の父に謝罪した様子だったが、私ならあんな一瞬でアイツと握手なんか出来ない。それでも貧困層故にあのお金が必要な被害者家族が不憫だった。ルーマニア悲しい国だ。
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