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凶悪のbluemercenaryのレビュー・感想・評価

凶悪(2013年製作の映画)
3.9
新潮45編集部編の「凶悪」が原作。
ノンフィクションです。
限りなく再現ドラマと捉えていいかも。
活字にし難い部分、行間を見事なまでに映像化したと思う。

実在した事件でその内容が狂気に満ち溢れている。
事もなげに、むしろ愉快な程に人を殺めていく人間が存在している。
現代の日本で。
映像化で原作にフィルター掛ける部分は掛けてはいるけど、その狂気は十二分に表現されていた。

更に原作には描かれる筈のない編集者の内面に迫った部分。
編集者藤井の気持ちの変化も狂気とは行かないがそっち系だったと思う。
ある程度までいったら、警察・司法に委ねてしまうもの。
けれど藤井は止らない。

「怪物と闘う者は、自らが怪物とならぬよう心せよ」byニーチェ
拘置所で対峙する藤井に"先生"が指さして「(ネタバレ自粛)」。
藤井の妻も「楽しかったんでしょ? こんな狂った事件・・・・・・・・・・・」
どちらも原作にはないシーン。
これはこれで軽い戦慄を覚えた。
自身が"正義"と定義しているものは、他者からすると"狂気"かもしれないね。
それならば、その狂気が一線を越えさせないものは何?
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