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失楽園のKのレビュー・感想・評価

失楽園(1997年製作の映画)
1.8
原作小説と比べて
◎良かった点
原作を読む限り、久木は閑職に甘んじて冴えない日常を送っている中年であり、そのくせ女の性とは〜などとセックスを語るめんどくさい男を想像していた。凛子についても社会経験が乏しいイタい女といった印象。が、映画版はさすがの豪華キャストのおかげで二人ともビジュアルが良いし、そういうシーンも綺麗で不快感が無かったのは良かった。
また、原作では何度も同じようなエピソードや台詞が続き無駄に長く感じていたが、映画の方はコンパクトにまとまっていて見やすい。

△残念な点
原作では凛子が暴走し、久木は若干戸惑いながらも性に溺れて、同時に生きることに疲れ、ラストの誘いに乗った、という感じだった。映画版では、そういった描写がなく、二人とも驚くほどすんなり決断を下し、あっさり決行してしまうので、ドラマチックさはなかったと思う。
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原作と映画を通して、やはりこの二人は本当に愛し合ってたわけではなく、ただ身体の相性が良すぎたため性に溺れて、人生に対し投げやりになった結果、ずっと一緒にいたいわなどと自分たちの愛に酔ってしまった哀れな中年、という印象しかなく、これが純愛というならばもっと内面的に惹かれあったという描写がないと共感はできないと感じた…
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