MasaichiYaguchi

真夏の方程式のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

真夏の方程式(2013年製作の映画)
3.7
子供は夏休みに出会った人や経験したことで一歩ずつ大人になっていくような気がする。
映画に登場する小学生の恭平も湯川と出会い、遭遇した様々な出来事で一歩成長したと思う。
本作では、この湯川と恭平が或る事件に巻き込まれ、後から加わった警視庁捜査一課の刑事・岸谷と共に事件が内包する「切ない謎」に迫っていく。
海底鉱物資源開発の説明会にパネラーとして出席する為に玻璃ヶ浦に向かう車中で湯川は少年・恭平と知り合う。
恭平が夏休みを過ごす親戚の旅館「緑岩荘」で同宿となった湯川は、同じ宿泊客である塚原正次が変死したことにより事件に深く関わることになる。
この変死した塚原は元警視庁捜査一課の刑事で、塚原のことを良く知っている警視庁の多々良管理官がその死に疑問を持ち、同じ宿に湯川が泊まっていたこともあって岸谷美砂を事件捜査に派遣させる。
ここから湯川と岸谷のコンビによる「真相」に迫る二人三脚の捜査が始まる。
この事件の舞台となった緑岩荘を経営する川畑家には人に話せない「秘密」がある。
そして変死した塚原が16年前に担当した殺人事件とこの「秘密」は複雑にリンクする。
今回の事件と16年前の事件、この二つが複雑に絡まった「糸」を湯川は明晰な頭脳で、岸谷は丹念な地取り捜査で少しずつ解きほぐしていく。
ほぐした「糸」の先に見えてくるのは余りにも切ない真相と深い愛。
海原が陽に輝き、水晶のように見える玻璃ヶ浦を舞台に展開される推理劇には湯川と恭平との触れ合いもあり、心に温もりを与えてくれる。
原作を読んだ人は、福山雅治さん演じる湯川の恭平に対する優しい眼差しに原作以上の感動を覚えるかもしれない。
そして原作以上に玻璃ヶ浦の海の美しさと、そこで展開される「海よりも深い愛」に胸震わせるかもしれない。