ラベンダー

共喰いのラベンダーのレビュー・感想・評価

共喰い(2013年製作の映画)
3.7
意外とみんな評価が低いけど、そこまで悪くはないと思った。菅田将暉目当てで見始めたが田中裕子の演技に釘付け。この方は年齢を超越して、まるで美しい少年のように発光して見える。

光石研演じる父親は、性行為の最中に女を殴ることで興奮する性癖を持つ。普段はそこまで横暴なわけでもなく、地元の祭りにも積極的に参加するような明るく気さくな面を見せたりもする。
息子(菅田将暉)は離れて暮らす母親(田中裕子)から、「お前にもあの男の血が流れている」とさんざん言われて、薄々感じている自分の内側に芽生えているものに混乱し、葛藤し始める。
暴力的な性行為のシーンは本当に嫌だけど、この映画の中で女性達みんな芯から強くて、精神的にどうしようもない男達の影響を本質では受けていないように見えた。

最終的に事を起こした田中裕子さんの清々しい顔!

タイトルの共喰いも、ああそこへ倒れこむのねとすっきりした気持ちでした。

遺伝子か本能か、自分では抗えないものに飲み込まれて溺れて、全てに見放されるのか。葛藤し続けた果てに誰かに救われることになるのか、生き続けてみないとわからないな。