久々に観る。題材としてはどストライクなのだが。
この映画のどうも乗り切れない感じの原因はカメラであることだと分かる。
カメラの置く位置がほぼ全部不正解で、カットをあまり割らないこと、また引き画主体であることが大きな要因である。
琴子さんが家を出ていくとき、琴子さんから遠馬にカメラを振るのが良くない。
割れば良いところで割らない、カメラのその弛緩したパンが緊張感を根こそぎ奪う。
また移動撮影の多さも良くない。こちらはパンした方が確実に良い。
ただでさえセットが安っぽいのに、引きばかりで細部が見えず、安っぽさのみが印象につく。
また照明が悪く顔の印象が残らない。
撮影が本当に良くない。
また芝居の付け方が良くない。具体的には人物の距離感がおかしい。
うなぎを喰らうシーンで、好いてもいない
父親の真横で寝転ぶのはありえない。
また仁子さんのキャラクターに問題がある。ただ下を向いてゆっくりと喋るだけでその生い立ちから立ち上がるはずの悲しみなど見えない。本来ならもっと自らの生い立ちを割り切り、サバサバと喋るのではないか。割り切っていたはずなのに、事件が起こるから悲しいのではないか。
ゆえに遠馬の真横に当たり前のように座ることがやはりおかしい。
菅田将暉の演技はとても良い。
惜しい映画だ。